年明け早々、私は腐っていた。
昔一時的に仲良かった人が、仕事で大きな成果を上げた話を聞いたからだ。
ちょうど年が明ける数分前にその話を知人から聞いて、ものすごく不貞腐れながら私は新年を迎えた。その時の私は、いやそれ以前からも、私は他人の成功を喜ぶことができなかった。
素直に「おめでとう。良かったね。」と言ってあげればいいのに、それができない人間だった。
いや表向きは言えたけど、内心はドロドロした黒い物に覆われていた。
そんな器の小さい人間だったから(今も小さいけど)、そういうはなしを聞くたびに自分が稼げない現状を目の当たりにし、私は腐っていった。
それがまさか年を明ける寸前まで続くと思ってなくて、今年は最悪な気持ちで年を越したのだ。
テレビを見ながら、スマホを片手に、不貞腐れてコタツに入っていた自分がいた。
私はずっとライターの仕事をしてきたんだけど、上手くいった試しがほとんどなかった。
適正がない。というのだろうか。ライターは誰でもなれる仕事だけど、誰でもできる仕事じゃないし、ましてや稼げる人はそんなに多くないはずだ。
そんな感じだったので、他人の成功を心から妬んだりしていた。
特にあまり好きじゃない人が上手くいってたりすると、もうダメだった。
なーんか知らないけど、ダメだったのだ。
神社で引いたおみくじは、大吉だった
そんな感じで私の2020年は幕を開けたんだけど、神社でおみくじを引いたら大吉だったんだよね。一瞬すごく嬉しかったんだけど、書いてる内容を見てガッカリした。
他人の協力を得て成功するだとか、あなたの願う形で夢が叶うとか、なんていうか、とても現実化するとは思えないことばかり書いてあった。だからガッカリしたし、絶望した。
まあでもおみくじなんてこんなもんだし、とりあえず大吉だったのは嬉しかったから、おみくじは財布の中に閉まっておいた。
とは言え、その頃の私はもうライターという仕事を諦めていた。
諦めてバイトで食いつなぐ選択肢しかなかった。
就活するという選択肢はなかった。まあ甘いと言われれば甘いんだけど、年齢的に不利なのと、私には職歴と言えるものが1つもない。契約社員はあるけど、あとは派遣かバイトだ。それしかない。
ライターは趣味レベルの稼ぎしかだせてなかったし、履歴書に書くようなレベルではなかった。
逆に書いたら恥ずかしい。
要するに何も積み上げてこなかった人間で、そのツケをくらいまくってるような人種だ。
自分で言うのも何だけど、ホントクズみたいな人生送ってきたし、未来に希望なんてなかったし、その時は頑張るという気持ちもわかなかった。
1月はそんな感じで、モヤモヤしたまま過ごしていた。
それでも何かしなきゃという気持ちはあった。
このままじゃダメだ。なんとかしなきゃ。そういう”気持ちだけ”はあった。
でもこの世界は悲しいことに、待ってるだけじゃ何も変わらないのだ。
すべての結果は”行動”にあり、行動しなければ何も変えられないのだ。
だけど私にはその行動が難しかった。
引きこもりの人ならわかると思うんだけど、実際何をしていいかわからなくなるんだよね。
何かしなきゃ~このままじゃダメだ~っていう気持ちは常にあるんだけど、でもどうしていいかわからなくて、結局何もできないわけ。
自分が何をしたいのかわからなかった
今はそんなことないんだけど、当時の私は自分が何をしたいのかわからなかった。
だけど今思うと、何をしたいのかわからないというより、単純に働くのが嫌だっただけなのかもしれない。
普通の人?ならとにかく働かなきゃ!と思って動き出すと思うんだけど、私みたいのはそれができないんだよね。お金のために外で働くのは嫌だという気持ちがどこかにあって、前に進めない。
世間ではそれを甘えと言うんだけど、まあでもしょうがないんだ。こういう人間もいる。
だから私は自分が少しでも興味のあったライターで稼ぎたいと思って頑張ってきてたんだよね。
でも成果がでなくてさ。だから1月に辞めることを決意した。
もうライターは諦める。やらないって。そう決めたんだ。
でもその次にぶち当たったのは、じゃあどうするの?ってことだった。
私はバイトもしてるけど、そのバイトをガッツリシフト入れて頑張りたいという気持ちはなかった。
むしろ辞めたかった。辞めて家を出て、遠くで1からやり直したいって思った。
だけどそんな資金もなければ度胸もなくて、ホントダメな人間だったんだよね。
まあでも1月はそんな感じで、どうしようどうしようと思いながらダラダラ過ごした1ヶ月だった。
バイトはまあまあ頑張ってた記憶あるけどね。年末年始、元旦からもずっと入ってたし。
バイトだけは頑張ってた。笑
でも何も満たされなかった。バイトは私にとってバイトに過ぎない。
日銭稼ぎのバイトに過ぎなかった。
これからどうしたらいいんだろう?
にっちもさっちもいかない状態というのだろうか?
はたから見ればとにかくバイトでも何でも頑張れよって感じなんだけど、当時の私は一生懸命頑張ることができなかった。バイトはしてたけど、それだけ。これからどうしようみたいな計画が何もなかった。
心の中はいつも真っ暗。気持ちも沈んでいた。
そんな暗い1年の幕開けだった。